個人事業主・フリーランスにとって、ガソリン代は経費計上できる費目の代表格です。本記事では確定申告でガソリン代を正しく経費化する方法を、仕訳・按分・必要書類の観点で整理します。
経費にできる条件
国税庁のガイドラインに基づき、ガソリン代を経費にできるのは事業のために使用した部分です。
- 業務専用車両: 100% 経費
- 業務 + プライベート併用車両: 業務利用分のみ経費(家事按分が必要)
- 完全プライベート車両: 経費にできない
勘定科目(仕訳)の選び方
ガソリン代は次の勘定科目で仕訳されます(白色・青色いずれも)。
主な選択肢
- 車両費: 個人事業主で最も一般的
- 燃料費: 製造業・運送業など燃料が主要支出の業種
- 旅費交通費: 出張の一部としてのガソリン代
- 消耗品費: 小規模事業者が簡略化のため使う場合あり
仕訳例
2026/04/15 借方: 車両費 3,500 貸方: 現金 3,500
(ENEOS 渋谷店 給油 22L)
複式簿記なら借方・貸方の両方を記録、単式簿記なら入出金として処理。
家事按分の計算方法
業務 + プライベート併用の場合、按分率を客観的根拠で決めます。
方法 1: 走行距離按分(最も精度が高い)
- 月始・月末のオドメーター記録
- 業務走行距離を記録(給油記録アプリ・手書きノートなど)
- 按分率 = 業務走行 km / 総走行 km
例: 月 1,000 km 走行のうち、業務 700 km なら按分率 70%。
方法 2: 利用日数按分
- 平日 5 日間業務利用、土日 2 日プライベート利用
- 按分率 ≒ 5 / 7 = 約 71%
方法 3: 利用時間按分
- 1 日のうち業務利用時間と私用時間の比率
→ 税務署からの照会に対応できる客観的根拠を残すことが重要。
必要な書類
必須
- 給油時のレシート: 日付・店舗名・金額・支払方法が確認できるもの
- オドメーター記録(按分計算する場合)
推奨
- クレジットカード明細(裏付け)
- 業務スケジュール・行動記録(按分根拠)
- 車検証コピー(車両情報)
電子帳簿保存法(2024 年 1 月施行)
- 電子データで受け取った領収書(電子領収書、メール、スマホ写真など)は 電子データのまま保存することが必須
- 紙レシートは紙のまま保存可(スキャナー保存もOK)
よくある間違い
1. クレジットカード明細だけで領収書を捨てる
→ NG。レシート(または電子領収書)が必要。クレカ明細は内容証明にならない。
2. 自家用車のガソリンを全額経費
→ 業務 + 私用併用なら按分必須。税務調査で全額否認される最大リスク。
3. 走行距離記録なしで「だいたい 70%」と申告
→ 客観的根拠がないと否認されやすい。簡易な記録でも残すこと。
4. 高速料金・駐車場代を一緒に車両費
→ 厳密には別科目(旅費交通費 or 諸会費)。ただし税務上の影響は小さく、運用上は車両費でまとめても可。
法人の場合
法人の場合は、社用車の規程・走行ログの管理がより重要。
- 業務日誌・運行記録簿の作成
- 法人カードでの一括決済
- 役員の私用利用は給与課税の問題あり
節税以前にやるべきこと
経費にしても税率分だけしか戻らない(個人事業主の所得税率は 5〜45%)。先にやるべきは:
- アプリで近所の最安スタンドを使う: 直接的に支出減
- 会員カードの最適化: ENEOS C / apollostation card など年間 3,000〜5,000 円のリターン
- エコドライブ: 燃費 5〜10% 改善で年間 5,000〜15,000 円の節約
詳細は 節約 7 つの方法 を参照。
まとめ
- 業務利用分のみ経費化、家事按分が必要
- 勘定科目は「車両費」または「燃料費」が一般的
- 按分は走行距離方式が精度高
- レシートと走行記録の両方を残す
- 電子帳簿保存法対応(電子データはそのまま保存)
確定申告期(1〜3 月)に遡って整理するのは大変なので、月次で記録する習慣が確実です。