ガソリン 1L の店頭価格のうち、約 4 割は税金です。本記事では「具体的にどんな税金が、いくら含まれているか」を分解し、Tax on Tax 問題や暫定税率の歴史的経緯まで整理します。
ガソリン税の構成
ガソリンには 3 つの税金が積み上げ式に課されています。すべて石油元売り会社が政府に納付する間接税で、最終的に小売価格に転嫁されています。
1. 揮発油税(国税、48.6 円/L)
国税で、道路特定財源として 1949 年に導入。本則 24.3 円 + 暫定税率 24.3 円の合計 48.6 円。一般財源化(特定目的の制限なし)された 2009 年以降も税率は維持。
2. 地方揮発油税(5.2 円/L)
国税ではあるが、税収のほぼ全額が都道府県・市町村に交付される地方財源。本則 4.4 円 + 暫定 0.8 円。
3. 石油石炭税(2.04 円/L)
エネルギー対策・温暖化対策のための税。地球温暖化対策のための課税の特例(CO2 排出量見合い)も含む。
小計: 1L あたり 55.84 円
これに本体価格と合わせた金額に消費税 10% が乗ります。
「Tax on Tax」二重課税問題
ガソリン税(揮発油税 + 地方揮発油税 + 石油石炭税)にも消費税がかかります。これは「Tax on Tax」と呼ばれる二重課税構造として、長年批判されてきた問題です。
なぜ二重課税になるか
消費税法上、ガソリン税は「価格の一部」として扱われ、本体価格と区別されません。そのため店頭価格全体に消費税 10% が課されます。
1L 170 円の内訳例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 本体価格(原油 + 流通マージン) | 約 99 円 |
| ガソリン税(揮発油税 + 地方揮発油税 + 石油石炭税) | 55.84 円 |
| 上記合計に消費税 10% | 約 15 円 |
| 店頭価格 | 約 170 円 |
つまり 170 円のうち、税金合計は 約 71 円(本体に対する税 + 税にかかる税)。実質約 42% が税金です。
二重課税の試算
ガソリン税 55.84 円 × 消費税 10% = 約 5.6 円
これは年間給油 1,000 L のドライバーで 5,600 円分の二重課税。世帯あたり年 1〜2 万円規模の負担です。
暫定税率の経緯
ガソリン税の本則税率と暫定税率(追加税率)の関係は次のように変遷してきました。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1949 | 揮発油税創設(本則税率 24.3 円) |
| 1974 | 道路特定財源として暫定税率 24.3 円を時限的に追加 |
| 1976〜2008 | 暫定税率を 2 年ごとに延長(実質恒久化) |
| 2008 | 衆参のねじれで暫定税率が一時失効、約 1 ヶ月だけ 25 円安く |
| 2008 | 道路特定財源 → 一般財源化、税率は維持 |
| 2011 | トリガー条項導入(160 円超 3 ヶ月で暫定税率を一時停止) |
| 2011〜現在 | 東日本大震災を理由に トリガー条項は凍結、未発動 |
つまり「暫定」と名がついて 50 年経過しているのが現実で、本則 + 暫定で 1L 48.6 円が固定されています。
トリガー条項とは
ガソリン高騰対策として 2011 年に法制化された「揮発油税の暫定税率の特例」。レギュラー全国平均が 3 ヶ月連続 160 円を超えると、暫定税率 25.1 円の徴収を停止する仕組みです。
ただし 2011 年以降一度も発動されておらず、災害復興財源を理由にした凍結が続いています。発動には法改正が必要で政治ハードルが高く、補助金(燃料油価格激変緩和補助金)で代替されている形です。
軽油・灯油との比較
| 燃料 | 税金合計 |
|---|---|
| レギュラーガソリン | 約 56 円 |
| 軽油 | 約 34 円(軽油引取税 32.1 円 + 石油石炭税 2.04 円) |
| 灯油 | 約 2 円(石油石炭税のみ) |
| ハイオク | 約 56 円(レギュラーと同じ) |
軽油の方がガソリンより 22 円安いのは、ほとんどが税金差。灯油はガソリンの 1/28 です。
まとめ
- ガソリン 1L の約 56 円が固定で税金(消費税込みで約 71 円)
- ガソリン税に消費税がかかる「Tax on Tax」構造が長年の批判対象
- 暫定税率は 50 年「暫定」のまま事実上恒久化
- トリガー条項は法律はあるが未発動
ガソリン価格対策は「補助金で価格抑制」という現状の方針に加え、「税制改正で根本解決」という議論も続いています。動向は 補助金記事 も併せて確認してください。